(書籍は「更生支援計画をつくる 第2版: 罪に問われた障害のある人への支援」 単行本 – 2024/1/27
水藤昌彦 (監修), 一般社団法人東京TSネット (編集) )
2024年11月10日、静岡トラブルシューターネットワークが主催し、静岡県社会福祉士会・静岡県手をつなぐ育成会・静岡県自閉症協会の後援により、更生支援コーディネーター養成研修が行われました。
内容は、東京トラブルシューターネットワークの弁護士・公認心理師・臨床心理士である山田 恵太さんにより、タイトル「更生支援コーディネートの意義 司法における差別の解消」、東京トラブルシューターネットワークの金子 毅司さんにより「更生支援コーディネート~ソーシャルワーカーの立場から~」。
講義では、山田さんが東京トラブルシューターの弁護士として、裁判にかかわる上で、かなりの割合で障害をおもちの方がおいでになると実感していること、挙動不審などの理由で疑われやすいこと、共犯者から利用されやすいこと、取り調べにおいて「自白」をとられやすいこと、障害があることゆえの生きづらさを抱えている、これまで福祉的支援が届いていない、といった背景があること、などが説明されました。
そこで、金子さんからは、ソーシャルワークの視点が必要であること、特に事件などのことだけでなく、その背景にある「生活ニーズ」に注目し、「生きづらさ」の解消のための方策を考えることが大切であると話されました。
そのためにも、短時間であってもアセスメントをどれだけできるか、が必要であること、またソーシャルワーカーは、裁判上の「再犯防止」にかたよらず、地域で生活する上でフォーマル・インフォーマルあわせたネットワークを構築することが重要である、と話されました。
研修では、お二人からの講義を受けたあと、ある事例をもとにインテーク、アセスメントの演習をグループに分かれて行いました。
BPSモデル(B:生物的なこと、P:心理的なこと、S:社会的・対人関係)と言われるアセスメントの方法を考慮しながら、アセスメントの実習をしました。
そして、なぜトラブルを起こしてしまったのか(因果関係)を考察し、これからの生活に必要なこと(支援課題)、本人のできること(ストレングス)などを整理しました。これらの演習をしたうえで、更生支援計画をグループで検討しました。
最後に、裁判で、自分がコーディネーターとして、たとえば情状証人に立った場合の練習を数名の方が代表して行いました。
福祉関係者にとっては、司法分野が一番理解できていない分野だと思います。
司法分野のなかで、公正な司法的な権利を享受する上で障壁があるなら、これらの権利が享受できるようなサポートが必要だと思いました。
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